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【強迫性障害】強迫性障害とアスペルガーの関係とは?

皆さんこんにちは٩( ᐛ )و

今日のブログの検索キーワードは「強迫性障害 アスペルガー」です。

アスペルガーとは

アスペルガーとは,アスペルガー症候群のことを指しています。アスペルガー症候群は,診断マニュアルがⅣ-TRから5に切り替わる際に,自閉スペクトラム症とまとめられることになりました。よって,以下は自閉スペクトラム症と記載していきます。

自閉スペクトラム症とは以下の特性を持つ神経発達症です。e-ヘルスネットから引用しました。

(1)複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
(2)行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さなど)

上記の特性をAutism-Spectrum Quotient(AQ)という心理検査を参考に,具体的にどのような困りごとが現れるかまとめてみました。

社会的スキルの低さ
社交的な場面が苦手
自分の置かれている社会的な状況が理解できない
新しい友人をつくれない

注意の切り替えの難しさ
2つのことを同時にできない
今までやっていたことを中断して他のことができない
没頭しやすい

細部への異常なこだわり
他の人が気づかない物音に気づく
数字や時刻表などの数字へのこだわりが強い
細かい点を気にし全体的なものの見方ができない

他者とのコミュニケーション能力の低さ
雑談ができない
話を始めたり、終えたりするタイミングがわからない
一方的に話をする

想像力の乏しさ
作り話されても気づかない
小説などを読んでも登場人物や背景が想像し難い
ごっこ遊びが苦手

強迫性障害と自閉スペクトラム症の関係

強迫性障害と自閉スペクトラム症はが併存関係にあった場合,以下の2点の特徴が出現すると言われています。

(1)併存した場合は呈する状態像が併存していない場合と異なる。
(2)併存した場合は,行動療法に一工夫加える必要がある。

強迫性障害と自閉スペクトラム症が併存した場合の比較表が,「発達障害を有する子どもの強迫性障害への対応」という論文に掲載されていましたので,表を転載いたします。

表を見てみると,自閉スペクトラム症が併存していると,特徴的な強迫観念,強迫行為が出現しています。

強迫観念は,保存・節約(とっておきたい),繰り返し(気が済むまで同じ行動を繰り返したい),順序(決まった順序へのこだわり),対称・正確性(左右対称にしたい,正確に理解したい),何でも知り,かつ覚えておきたい,物を紛失する心配です。

強迫行為は,物を溜めこむというものです。

強迫性障害に自閉スペクトラム症が併存しているときのポイント

「広汎性発達障害を伴う強迫性障害の特徴についての研究」は,まずは環境調整から行うことがポイントであると指摘しています。

環境調整とは,症状が出現しにくいように,また,本人が過ごしやすいように環境を整えることを指します。この論文では具体例として(1)職場ではマルチタスクを避ける(2)仕事の依頼をするときは本人がわかりやすいように具体的に伝える(3)混乱時は別室の利用ができるようにする(4)机の上に物を必要最小限のみ配置して視覚刺激を減らすという4点があげられていました。

環境調整は本人ができることもありますが,職場や学校の理解が必要な場合が多いため,症状の説明と配慮してもらいたいことについて,職場や学校に予めて伝えておくことが必要になると考えられます。その際,診断書や主治医,心理士の意見書があると職場や学校とのやり取りに齟齬がなくなることが期待されます。

まとめ

強迫性障害と自閉スペクトラム症が併存している場合,強迫性障害のみの場合と違った特徴が現れるため,環境調整などの工夫が症状改善の役に立つことが予想されます。

それでは今日はこの辺で٩( ᐛ )و