こんにちは。今回は、SNSとメンタルヘルスの関係を実験的に検証した研究をご紹介します。
Melissa G. Huntさん(ペンシルバニア大学)らの研究チームは、Facebook、Instagram、Snapchatの利用を1日あたり合計30分に制限することで、孤独感や抑うつが軽減されることを報告しました(Journal of Social and Clinical Psychology, 2018年)。
今回の研究タイトルにも含まれている「FOMO(フォーモ)」とは、Fear of Missing Outの略で、日本語では「取り残されることへの不安」と訳されます。
たとえば、SNSを見ていて友人たちの楽しそうな投稿を目にしたときに、「自分だけ何もしていないように感じてしまう」「この瞬間を逃したくない」といった焦りや不安を感じたことはありませんか? それがFOMOの感覚です。
SNSが普及する現代においては、このFOMOが日常的に刺激され、気づかぬうちに心の疲れにつながっていることがあります。
SNSの利用とメンタルヘルスの関係については、これまでも多くの相関研究で、SNSの使用時間が長い人ほど、抑うつや孤独感、自尊心の低さなどと関連することが報告されてきました。しかし、それが「SNSを使うからメンタルが悪化する」のか、「もともとメンタルが落ちているからSNSに頼る」のかは、はっきりしていませんでした。
今回の研究は、因果関係を明らかにするために実験的なアプローチをとっています。つまり、「SNSの使用を制限したらどうなるか?」を実際に検証したということです。
対象は、ペンシルベニア大学に通う143名の大学生。参加者は、Facebook、Instagram、Snapchatのアカウントを持ち、iPhoneを使っていることが条件でした。
まず1週間、普段通りSNSを使ってもらい(ベースライン期間)、その後、無作為に以下の2群に分けられました。
SNSの使用時間は、iPhoneの「バッテリー使用状況」のスクリーンショットで記録。3週間の介入期間中、計7つの心理指標(抑うつ、不安、孤独感、自尊心、心理的ウェルビーイング、FOMO、社会的支援)について変化を測定しました。
制限群で有意な低下が見られました。
BDIスコアが平均23→14.5に大幅に改善。対照群ではほとんど変化なし。
意外なことに、これは両群で見られました。SNSの使い方に意識を向けるだけでも、不安がやわらぐのかもしれません。
この研究は、たった1日30分までの制限であっても、SNSの使い方がメンタルに与える影響は大きいことを示しています。特に、もともと抑うつ傾向のあった人ほど、その効果は大きかったようです。
また、自分のSNSの使い方を見直すきっかけとして、自己モニタリングの効果もあったのではないかと考察されています。
僕自身も、ついSNSを眺めて時間を浪費してしまったり、気分がモヤモヤすることがあります。そんなときは、「そろそろやめておこう」と距離を取ることも大切かもしれませんね。
「もうFOMOは終わり」と言えるような、心の余白のある毎日を送りたいものです。
参考文献
Hunt, M. G., Marx, R., Lipson, C., & Young, J. (2018). No more FOMO: Limiting social media decreases loneliness and depression. Journal of Social and Clinical Psychology, 37(10), 751–768. https://doi.org/10.1521/jscp.2018.37.10.751