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「学校に行きたくない」困りごとと認知行動療法

はじめに

こんにちは、皆さん。私のブログへようこそ。今日、私たちは日本社会において大変重要な問題について考えます。それは、「不登校」です。子どもたちが何らかの理由で学校に行けなくなるこの現象は、親や教育者だけでなく、子ども自身にも深刻な影響を与えます。しかし、どのように対処すれば良いのか、何を始めれば良いのかが分からないと感じる方も多いでしょう。

このブログでは、「不登校」の問題に焦点を当て、その解決策の一つとして認知行動療法(CBT)について解説します。私たちは、CBTがどのように不登校に対応できるのか、そしてその具体的な方法を学んでいきます。そのため、このブログは教育者、親、そして不登校で悩む子どもたち自身にとって、価値ある情報を提供できることを目指しています。

認知行動療法は、心理療法の一形態で、不安や恐怖を理解し、それを克服するためのツールとして広く用いられています。そして、それは不登校に対する対策としても有効です。このブログを読み終えるころには、皆さんがCBTの基本的な理解を深め、そしてそれをどのように活用すれば良いかのヒントを得られることを願っています。

それでは、一緒に「不登校」の理解を深め、認知行動療法の可能性を探っていきましょう。

不登校の理解と認識

「不登校」は一般的に、学校に行くことが困難または不可能となる状況を指します。これは、一時的なものから長期間にわたるものまで、さまざまな形で現れます。病気や怪我による身体的な障害、家庭の状況、学校内でのいじめや教師との関係、学業への圧力など、不登校の原因は多岐にわたります。また、これらは孤立した要因として存在するわけではなく、往々にして複数の要因が絡み合って不登校につながることが多いです。

不登校の影響もまた多岐にわたります。具体例の一部を以下に記載します。

  • 学業の問題(神経発達症の影響)
  • 対人関係の問題
  • 心身の問題(起立性調節障害、ナルコレプシーなどの身体的な問題や何らかの精神疾患)
  • 上記の問題による二次障害(学業の問題から発展する自尊心の低下等)

「不登校」は、単純に学校に行かないだけの現象ではありません。それは個々の子供が直面している困難や恐怖、心の中で起こっていることの結果です。それゆえ、不登校の問題に対処するためには、その原因を理解し、その子供が感じている感情を受け入れ、対策を講じることが重要となります。

不登校と認知行動療法の関係

認知行動療法(CBT)は、思考パターンと行動の間の関連性を理解し、それを改善することを目指す心理療法の一形態です。このアプローチは、不登校の問題と深く関連しています。

不登校は、しばしば子供が学校に関連する恐怖や不安を抱えている結果として発生します。これらの感情は、いじめや学業上の困難、社会的な不安など、様々な問題から生じる可能性があります。このような感情は、子供が学校に行くことを避けるように影響を与え、これが不登校の一因となります。

ここでCBTが役立つ理由が明確になります。CBTは、個々の人が抱えるネガティブな思考パターンや信念を明らかにし、それらを具体的に扱うことができます。CBTのセッションでは、子供は自分の感情や恐怖を認識し、それらを再評価する方法を学びます。これは、子供が自分の感情を理解し、それに対処する方法を見つけるのに役立ちます。

例えば、子供が学校に行くことに恐怖を感じる場合、CBTのセッションではその恐怖の原因を探り、それが現実的なものであるのか、または過度にふくらんだ不安から来ているのかを理解します。そして、それらの恐怖や不安を軽減するための戦略を作成します。これらの戦略は、深呼吸やリラクゼーションテクニックなどのストレス管理技巧から、問題解決スキルの強化まで、様々なものがあります。

CBTの目的は、子供自身が自分の感情をコントロールし、学校に行くことに関連する恐怖や不安を克服する能力を身につけることです。したがって、CBTは不登校の問題を対処するための有効なツールとなり得ます。

不登校に関する認知行動療法の研究

不登校に対する認知行動療法(CBT)の有効性については、いくつかの研究が存在するようです。ここでは、その中から主要なものをご紹介します:

ある研究では、CBTが不登校の青年に対して、日常的なケアの中で行われた際に有効であることが明らかになりました。また、別の研究では、不登校の子どもに対する4週間のCBTプログラムの有効性を評価しました。その結果、CBTを受けた子どもは、恐怖、不安、抑うつ、対処の自己評価に加えて、学校への出席率が有意に改善したことが示されました。

観察研究では、慢性的な不安と抑うつの状態にある不登校の青年を対象に、入院中のCBTによる変化を検討しました。その結果、治療中やその後の追跡調査において、不登校や精神衛生上の問題が大きく減少したことが示されました。

さらに、CBTを含む心理社会的治療が、学校恐怖症の子どもの学校への復帰に有効であることが確認された研究もあります。ある事例では、思春期の不登校に対する治療を計画・実施する際に、発達的な感受性を高めることを目指したCBTである@schoolプログラムについて説明しました。治療はモジュール化され、経過観察が組み込まれ、計画的で柔軟なCBTのアプローチを推奨しました。

また、ある総説では、思春期の不登校に対するCBTを強化するために、セッションの回数や頻度を増やす、社会不安障害に対する注意を強める、家族の状況に焦点を当てるなど、いくつかの方向性を提案しました。

全体として、CBTは特に個人の発達のニーズに合わせて、柔軟で支持的な方法で行われた場合、不登校に対する効果的な治療となり得ることが示唆されました。

まとめ

今回は、不登校という問題とそれに対する一つの解決法としての認知行動療法(CBT)についてご紹介しました。

不登校は多くの子どもたちが直面する問題で、その背後にはさまざまな要因が存在します。心理的な問題、家庭環境、学校環境、個々の性格や能力など、それぞれの子どもの状況によって原因や影響は変わります。

その一方で、認知行動療法(CBT)は、不登校問題を解決するための一つの有効な手段として認知されています。CBTは子どもの恐怖や不安を軽減し、学校への適応を促進します。さまざまな研究結果からも、CBTが不登校に対する効果的な治療法となり得ることが示されています。

ただし、CBTの成功は、子どもの個々の状況に対する深い理解と、それに基づいた柔軟な対応が必要となります。

本記事を通じて、不登校という問題に直面する子どもたちやその保護者の方々が、CBTの可能性について理解を深める一助となれば幸いです。子どもたちが学校生活を楽しく、充実したものにできるよう、社会全体で支えることが求められます。

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