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【不眠症】私は不眠症?病院受診した方が良い?

今回の検索キーワードは,「不眠症 病院」でした٩( ᐛ )و
不眠症と病院受診について記事を書いていこうと思います( ..)φ

そもそも不眠症とは?

「最近眠れてなくて…。不眠症かも…」という会話はよく耳にします。まずは,精神医学で不眠症はどのように定義されているのか確認してみましょう。

不眠障害の診断基準

A.睡眠の量または質の不満に関する顕著な訴えが,以上の症状のうち1つ(またはそれ以上)を伴っている。
(1)入眠困難(寝つきが悪い)
(2)頻回の覚醒(途中で目が醒めて,その後なかなか寝つけない)
(3)早朝覚醒があり,再入眠できない
B.その睡眠の障害は,臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,教育的,学業上,行動上または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
C.その睡眠困難は,少なくとも1週間に3夜で起こる。
D.その睡眠困難は,少なくとも3ヶ月持続する。
E.その睡眠困難は,睡眠の適切な機会があるにもかかわらず起こる。
F.その不眠は,他の睡眠-覚醒障害では十分に説明されず,またはその経過中のみに起こるものではない。
G.その不眠は,物質の生理学的作用によるものではない。
H.併存する精神疾患および医学的疾患では,顕著な不眠の訴えを十分に説明できない。

ここでのポイントは,不眠症状(寝つきが悪い,途中で目が醒める,朝早くに目が醒めて,そこから眠れない)があり,それが1週間に3回,3ヶ月に持続し,日常生活に支障がでているということです。さらに,睡眠時無呼吸症候群,うつ病などの身体疾患や精神疾患,医薬品などの影響では不眠症状を説明できないことも重要です。

有病率の研究

DSM5によると,成人の約1/3が不眠症状を訴え,10~15%の人々が日常生活に支障をきたしているとされています。また,男性よりも女性の訴えが多いということでした。つまり,不眠症は決して稀な精神疾患ではないということです。

日本で2008年に2641人に対して行われた調査研究によると,以下のような結果が明らかになりました。

男性
-寝つきの悪さ 8.4%
-途中で目が醒めてそこから眠れない 5.8%
-朝早く目が醒めてそこから眠れない 5.8%
-有病率 12.2%
-日常生活に支障 3.2%

女性
-寝つきの悪さ 11.0%
-途中で目が醒めてそこから眠れない 8.1%
-朝早く目が醒めてそこから眠れない 7.4%
-有病率 14.6%
-日常生活に支障 4.2%

不眠症チェックリスト(アテネ不眠尺度)

質問:過去1ヶ月間に,少なくとも週3回以上経験したものを選んでください。

寝床についてから実際に寝るまで,時間がかかりましたか?
0:いつもよりは寝つきは良い
1:いつもより少し時間がかかった
2:いつもよりかなり時間がかかった
3:いつもより非常に時間がかかった,あるいは全く眠れなかった

夜間,睡眠の途中で目が覚めましたか?
0:問題になるほどのことはなかった
1:少し困ることがある
2:かなり困っている
3:深刻な状態,あるいは全く眠れなかった

希望する起床時間より早く目覚めて,それ以降,眠れないことはありましたか?
0:そのようなことはなかった
1:少し早かった
2:かなり早かった
3:非常に早かった,あるいは全く眠れなかった

夜の眠りや昼寝も合わせて,睡眠時間は足りてましたか?
0:十分である
1:少し足りない
2:かなり足りない
3:全く足りない,あるいは全く眠れなかった

全体的な睡眠の質について,どう感じていますか?
0:満足している
1:少し不満である
2:かなり不満である
3:非常に不満である,あるいは全く眠れなった

日中の気分はいかがでしたか?
0:いつもどおり
1:少し滅入った
2:かなり滅入った
3:非常に滅入った

日中の身体的および精神的な活動の状態は,いかがでしたか?
0:いつも通り
1:少し低下した
2:かなり低下した
3:非常に低下した

日中の眠気はありましたか?
0:全くなくなった
1:少しあった
2:かなりあった
3:激しかった

合計  点
1~3点:睡眠がとれています
4~5点:不眠症の疑いが少しあります
6点以上:不眠症の可能性が高いです

チェックリストは診断にかわるものではものではありません。

さて,病院受診をどうしよう?

睡眠の問題で,生活の質が低下していたり,日常生活に支障が出ている場合は,病院受診に限らず,専門家に相談することが望ましいと考えられます。不眠症治療の第一選択肢は,認知行動療法です。現在の睡眠の状態を知りたい,病院受診すべきか,認知行動療法を受けるべきか相談したい場合は,お気軽にご予約ください٩( ᐛ )و

参考文献

Itani, O., Kaneita, Y., Munezawa, T., Mishima, K., Jike, M., Nakagome, S., Tokiya, M., & Ohida, T. (2016). Nationwide epidemiological study of insomnia in Japan. Sleep Medicine, 25, 130–138.

Okajima, I., Nakajima, S., Kobayashi, M., & Inoue, Y. (2013). Development and validation of the Japanese version of the Athens Insomnia Scale. Psychiatry and Clinical Neurosciences, 67(6), 420–425.

Partinen, M., Huutoniemi, A., Kajaste, S., Lagerstedt, R., Markkula, J., Mäkinen, E., Paakkari, I., Partonen, T., Polo, P., Saarenpää-Heikkilä, O., Seppälä, M., Kukkonen-Harjula, K., & Tuunainen, A. (2016). [Update on Current Care Guideline: Insomnia]. Duodecim; laaketieteellinen aikakauskirja, 132(3), 277–278.高橋三郎, 大野裕, 染矢俊幸, 神庭重信, 尾崎紀夫, 三村將, 村井俊哉, & Others. (2014). DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル.