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【強迫性障害】強迫性障害が悪化するメカニズムとは?

いつものように,ラッコキーワードで頻繁に検索されているキーワードを見つけてみました。

今回のブログのテーマは,「強迫性障害 悪化」について書いていきたいと思います٩( ᐛ )و

まずは,悪化を定義する必要があるように思いました。このブログでは,悪化を,儀式行為(強迫行為)の頻度,強度,持続時間が増加し,日常生活に支障をきたすようになった状態と定義したいと思います。

なぜ,強迫性障害は自然と治らず,気の赴くままに儀式行為を行ってしまうのでしょうか。

この疑問に答えるヒントは,儀式行為にあります。

強迫性障害の悪循環は,きっかけ(ない場合もあります)→強迫観念→不快感情(+)→儀式行為→不快感情(-)という一連の流れで表すことができます。嫌子(強迫観念,不快感情)消失による強化という行動原理により,儀式行為は維持されているのです。

それでは,なぜ儀式行為を続けていくと症状は悪化してしまうのでしょうか?

ポイントは2つあります。

第一のポイントは,儀式行為を繰り返すことで,脳内の前頭葉,視床,基底核という部分にOCDループと呼ばれる神経の連続発火が起きるようになるということです。

儀式行為→不快感情(-)→OCDループがより強固になる→儀式行為→不快感情(-)…

という一連の悪循環が形成されます。つまり,儀式行為は脳内に機能的な変化をもたらすということです。

第二のポイントは,儀式行為を繰り返すことで,不快感情を感知するセンサーの感度が上がり,些細な不快感情に過剰に反応するようになるということです。

最初は,玄関の鍵をしたかどうかが気になっていたものが,ガスの元栓や窓の鍵まで気になるようになるという悪化の過程はしばしば認められます。

上記2つのポイントに共通することは,儀式行為を繰り返した結果,症状が悪化したというものです。

強迫性障害に対する行動療法の中核は,エクスポージャーと儀式妨害(ERP)と呼ばれるものになります。

ERPは,十分にリラクゼーション反応を引き起こした後,自身が恐れている刺激に次々と意図的に直面し,そして儀式行為をせずに不快感情を感じたままにしておくという手法です。

儀式行為をせずに不快感情を感じたままにしておくと,不快感情を感知するセンサーが徐々に鈍感になっていきます。このセンサーを鈍化させることが,回復へのヒントであると言われています。

センサーが鈍化することで,これまで大きな不安だったものが,いつの間にか耐えられるレベルの不安になり,さらにERPを続けていくと,もう日常生活を脅かさない不安になっていきます。

強迫性障害に関するテキストには,様々なERPの例が掲載されています。中には便器を素手で触るようなびっくりするものもありました( ゚Д゚)

こころの相談室UPが大切にしているERPの要素は,十分なリラクゼーションと小さな挑戦を何度も繰り返すことです。

大きな不快感情に一度だけ直面して,それを耐え忍ぶようなERPではなく,遊び心を持って,身体を十分に緩ませ,耐えられる範囲の不快感情に直面するエクササイズを何回も繰り返します。

人の心は不思議なもので,レベル1のハードルを飛べるようになると,レベル2のハードルを求めるようになります。この心の不思議を利用して,徐々に不快感情のレベルを上げていきます。

最終的には,儀式行為を行わなくても日常生活を送ることができるようになったり,もしくは,儀式行為の一部を短縮し,日常生活に支障が出ない範囲に収められるようになったりすることが予想されます。

このためには,日々のHWへの取り組みがとても重要になるのですが,公式LINEなどを用いて,HWの遂行をできる限り応援する仕組みを構築しています٩( ᐛ )و

気になる方はぜひ一度お問合せくださいね。

それでは今日はこの辺で!