Week1で睡眠日誌のつけ方を知り,Week2で睡眠効率の算出方法と良眠のコツを知ったけど,不眠症を改善するのは具体的にどうしたら良いの?と疑問に思われた方はとても多いと思います。
今回の記事では,不眠症改善方法の1つである睡眠スケジュール法についてご紹介していきたいと思います。
※上の画像はアメリカ心理学会の公式ホームページより転載しています。「Strong」とは,推奨しているという意味です。
この記事を読み終える頃には,睡眠スケジュール法とはどのような不眠症の改善方法か知ることができ,さっそく今晩から実践することができる準備が整うことと思います。
寝つきが悪かったり,途中で目が覚めたりすることを繰り返していると「横になっているだけでも身体の疲れは取れると聞くし,眠れないけどとりあえず横になっておこう」「浅い睡眠だけど,夜中まで起きておくよりはマシだから早めにベッドに入ろう」と考え,普段よりも早くベッドに入ったり,いつもと同じ時間帯にベッドに入るという対策を取る方が多いかも知れません。
しかし,ベッドで横になっている時間と実際に眠れている時間に乖離があるほど,睡眠効率は低下し,睡眠に対する満足度は低いままになってしまうと言われています。
そこで,睡眠効率を高めるために寝落ちするギリギリまで起きておき,ベッドに入ったら一瞬で寝てしまうような時刻まで起きておくようにします。下の図では,深夜2時にベッドに入っていますね。そして,起床時刻は翌朝の8時です。このようにすることで,ベッドで過ごした時間は6.5時間,実際に眠れた時間は6時間となり,睡眠効率は92%となります。
寝つきが悪い,途中で目が覚めるという困りごとがあると,ついつい早めにベッドに入りがちになってしまいますが,実はこの行動が睡眠の困りごとを維持する要因なのです(睡眠時無呼吸症候群などの身体疾患を除外した場合)。
そこで,ベッドで過ごした時間と実際に眠れた時間の乖離を少なくし,睡眠効率を高める方法が睡眠スケジュール法という不眠症に対する認知行動療法のスキルの1つになっています。
睡眠スケジュール法の理論は理解したけれど,実際に自分に当てはめるとどうなるの?と疑問に思われたと思います。
Week1,Week2で記録した睡眠日誌をもとに,睡眠スケジュール法を自分にあてはめるとどのようになるのか見てみましょう。
睡眠スケジュール法の6ステップ
ステップ1
起床時刻の設定
ステップ2
平均睡眠時間の算出
ステップ3
平均睡眠時間を分から時間になおす(つまり÷60をする)
ステップ4
Step2の時間に30分を足して新しい臥床時間を算出
ステップ5
起床時刻から新しい臥床時刻を引いて,ベッドに入る時刻を決める
ステップ6
睡眠が安定してきたら,1週間で15分ずつベッドに入る時刻を早める
上記の6ステップに沿って,具体的な睡眠スケジュールを立てていきましょう。
まずは起床時刻から設定します。仕事や学校などで起きなければならない時刻は自然と決まってくると思いますが,今回は6時を起床時刻に設定します。
平均睡眠時間を算出してみましょう。睡眠日誌を見てみると既に平均睡眠時間は算出されていますね(平均睡眠時間の算出方法を忘れてしまった場合はWeek2の記事を参照してくださいね)。日誌では平均睡眠時間は332分でした。
332分という平均睡眠時間を時間単位に変換します。つまり,÷60をするのですが,めんどくさいですね笑 このサイトに数値を入力すると自動で分を時間に直してくれます。さっそく入力してみると,332分は5時間32分でした。5時間30分ということにしましょう。
5時間30分に30分を足すと,6時間になります。ベッドで横になっている時間は6時間までということになりました。
起床時刻は6時に設定していたので,新しい臥床時刻(6時間)を引きます。つまり,ベッドに入る時刻は0時以降ということになりました。
普段22時にベッドに入っていた人が,0時にベッドに入る習慣に替えるのは少し勇気の要ることかも知れません。そして,最初の2~3日は睡眠時間が足りてない感じがして,日中の眠気や倦怠感が現れる方もおられます。しかし,4日後以降は身体が慣れてきますので,最初の数日間は現れた問題に対して様々な工夫をして乗り切る努力をしてみましょう。
ここで注意事項があります。Step5で算出したベッドに入る時刻は,0時にベッドに入らなければならないということではないのです。良眠のコツでもご紹介したように,ベッドに入る時刻は眠気がきたときです。0時になっても眠気がない場合は,眠気がくるまで読書などの興奮しない活動をして起きておくようにしましょう。
睡眠スケジュール法を行っている期間は,0時前に眠気がきたとしても,0時以降にベッドに入るようにしましょう。