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日々のメンタル不調、スマホを使ったちょっとしたワークで改善できる?

はじめに

気分の落ち込みや不安を感じやすい時、日々の生活の中で手軽に対処できたら嬉しいですよね。実は最近の研究で、日々の生活の中で数分程度の簡単なワーク(感謝や味わい、アクセプタンスなど)を行うことが、一時的な気分の改善だけでなく、長期的な抑うつや不安の軽減にもつながる可能性があることが分かってきました。今回は、日常のすきま時間を使った「ちょこっとケア」の効果について考えてみたいと思います。

研究・論文の知見

ご紹介するのは、Felix Fißらが𝟮𝟬𝟮𝟲年にJournal of Affective Disordersという学術誌で発表した「Addressing mental health with daily-life ecological momentary interventions (ALERT) in people at increased risk for mental disorders: A micro-randomized trial」という論文の研究です。

この研究では、メンタルヘルス不調のリスクを抱える𝟳𝟮名の参加者を対象に、スマートフォンを通じて日々の生活の中でランダムなタイミングで簡単な心理的介入(エコロジカル・モメンタリー・インターベンション:EMI)を行いました。介入の内容は以下の𝟰種類です。

・感謝(人生で感謝していることに注目する)

・味わい(幸せな記憶を思い出し、その感覚を味わう)

・アクセプタンス(思考や感情をコントロールしようとせず、そのまま受け入れる)

・認知的再評価(不快な思考を捉え直し、調整する)

結果として、感謝、味わい、アクセプタンスのワークを行った直後(約𝟯𝟬分後)には、ポジティブな気分が有意に向上しました。また、ネガティブな気分の減少に対しては、感謝と味わいが効果的であり、アクセプタンスは特に「ネガティブな気分が強い瞬間」においてネガティブな気分を和らげる効果があることが示されました。一方で、認知的再評価のワークは、直後の気分改善には有意な影響を与えませんでした。

さらに、約𝟮週間にわたってこれらのワークを続けた結果、全体として抑うつ症状や不安症状が減少し、ウェルビーイング(精神的な健康度)が高まったことも報告されています。

僕の臨床での見立て

僕の臨床での見立てをお話しします。

日々のカウンセリングの中でも、「ネガティブな感情をどうにかしよう」と無理に考え方を変えようとする(認知的再評価に近いアプローチ)よりも、まずは今の状態を受け入れたり(アクセプタンス)、すでに生活の中にある小さなポジティブな側面に目を向けたり(感謝や味わい)する方が、結果として心がすっと軽くなるケースをよく経験するように思います。

この研究で、認知的なアプローチよりも、ポジティブ心理学やACTに基づくアプローチの方が、その場での気分改善に直結しやすかったという結果は、僕の普段の肌感覚とも重なるように思います。思考と戦うのはエネルギーが要るため、疲れている時こそ、ハードルの低いアプローチが役立つのかもしれません。

メカニズムの説明と現実的な工夫

それでは、こうしたワークをどのように日常に取り入れていけばよいのでしょうか。

メカニズムとして、ネガティブな気分が続いている時は、視野が狭くなり、苦しい側面にばかり意識が向いてしまう状態(条件づけによる反応)に陥りがちです。そこで、外部からの合図をきっかけに、意識の向け先を切り替えることが、ネガティブな感情の連鎖を断ち切るスイッチとして機能するのだと思います。

現実的な工夫として、まずは『𝟯つの感謝』や『楽しかった記憶を思い出す』といった、難易度の低い【味わい】のワークから試してみることをおすすめします。わざわざ時間を取るのではなく、通勤電車の中や、お茶を淹れている数分間など、ちょっとした隙間時間に行うのがコツかと思います。

そして、どうしても辛い感情が強い時には、無理にポジティブになろうとするのではなく、「今はしんどいんだな」とその感情の存在をただ認める【アクセプタンス】のスタンスを持ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、日常的な短いワークが、気分の改善に役立つという研究知見をご紹介しました。

心のケアは、特別な場所で特別なことをするだけでなく、日々のほんの数分の積み重ねが大きな支えになることがあるように思います。ご自身の負担にならない範囲で、日常の中に小さな「心のスイッチ」を取り入れてみていただければと思います。

一人で行うのが難しいと感じた時や、自分の心の状態に合わせたより具体的なサポートが必要な時は、いつでもお気軽にご相談ください。

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