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【質問】落ち込んだときはどうしていますか?

久しぶりにマシュマロを投げていただきました٩( ᐛ )و
貴重なご質問ありがとうございます!僕が実践したり,カウンセリングの中でご紹介している気分の落ち込みへの対処法を2点ご紹介しますφ(`д´)

活動スケジュール法

気分が落ち込むきっかけは様々あると思いますが,「どうも〇曜日の〇時頃気分が落ち込んでいるなあ」と,気分の落ち込みに決まったリズム,パターンがあるときの対処法は,活動スケジュール法です。

活動スケジュール法とは,あらかじめ〇曜日の〇時に行う活動を決めておいて,どのような気分であれ,予定していた活動を行うという行動療法を指しています。

「どのような気分であれ」という点がポイントで,気分が落ち込んでいても,やる気が起きなくても,とりあえず決めておいた活動をします。これは,気分本位の生活スタイルを目的本位の生活スタイルに変える目的や,行動→気分の変化を狙うという目的があります。

ポイントは,予定する活動は負荷が高すぎないものを選ぶということ,そして,環境が変わる活動を選ぶということの2点です。

負荷の高い活動(1時間のランニング)を活動スケジュールに組み込んでしまうと,ハードルが高すぎて取り組む気になれそうにありません。また,これまで自室で過ごしており,さらに自室で読書を行うといったような,環境の変化が伴わない活動スケジュールは,新しい刺激が入ってこないため避けることが望ましいと思います。

僕の具体例をあげると,日曜日の16時頃に若干の気分の落ち込みを感じることが多いです。これまでは,ベッドの上で動画を見る生活をしていましたが,気分に変化はありませんでした。

そこで,15時30分頃に家を出て音楽スタジオに行き,1時間スタジオでギターを弾くという活動スケジュールを立ててみました。何がきっかけで気分が落ち込んでいるのかはわかりませんが,このように気分が落ち込むリズムに合わせて予定を入れることで,気分の落ち込みに対処できるだけでなく,スタジオでその場にいる店員さんやお客さんと話したりして,むしろ元気をもらって帰宅することが多くなりました。

ぐるぐる思考,考え込みへの対処法

反すうとは,物事を繰り返し考え続けることと定義されています。そして,抑うつ的反すう(現在の状況の原因や結果について消極的に考えること)は,気分の落ち込みを長引かせるということが研究から示唆されています。

気分の落ち込みを長引かせる抑うつ的反すうですが,どうしてこれは続くのでしょうか?

Self-regulatory executive function theoryでは,反すうについて肯定的なメタ認知的信念を有していることが,反すうを持続させる要因となっていると考えます。つまり,「問題に直面したとき,問題の原因や自分自身について考えることは良いことだ」という信念を有していることが,反すうを持続させる要因になっていると考えるのです。

しかし,上述したように,様々な調査研究から,抑うつ的な反すうは気分の落ち込みを長引かせるという否定的な結果をもたらしてしまっているのです(´・_・`)

そこで,反すうを儀式行為(否定的な気分を緩和させる行動)と捉え,儀式妨害をしてみることにしました。

僕の反すうを分析してみると,きっかけ→思考A→気分の落ち込み(+)→反すう→思考B(+),気分の落ち込み(↓)→反すう→思考C,気分の落ち込み(+)という流れになっていることがわかりました。

つまり,とあるきっかけで思考Aが出現したことで気分の落ち込みも出現します。反すうが間に入ることで,思考Bが出現し,一瞬だけ気分の落ち込みが軽くなります。しかし反すうが間に入ると,思考Cが出現し,再度気分の落ち込みが出現しているのです。

反すうを儀式行為として捉えてみると,反すうには,一瞬の気分の落ち込みの軽減と,新しい思考の出現という結果が随伴しているようでした。

そこで,反すうに対して儀式妨害をしてみます。「この前はあんな失敗をしちゃって,信用を失ったに決まっているよな」という否定的な思考に対して「はいはい,そうかもね」と反応します。そして放っておくと,「あの失敗は,僕の努力不足が原因だ」という新たな否定的な思考に対して,「はいはい,そうかもね」と同じ反応をします。

反すうに対する儀式妨害のポイントは,どのような否定的な思考に対しても,「はいはい,そうかもね」と徹底して同じ反応を繰り返すことです。

否定的な思考に対して,「人間誰でも失敗はある。大丈夫だ」などど反応すると,「でも…」と新しい否定的な思考が生まれることが予想されます。また,気分の落ち込みを肯定的な思考で解消する癖をつけると,気分の落ち込みやそのきっかけに対するセンサーが敏感になり,以前は何ともなかったきっかけで落ち込むようになったり,以前の気分の落ち込みの強さと同じものでも,体感する気分の落ち込みが強いように感じるようになることが懸念されます。

まとめ

気分の落ち込みに対しては,リズムやパターンが分かっている場合は,そのリズムに合うように環境の変化を伴う予定を入れること,突発的な気分の落ち込みに対しては,反すうに対する儀式妨害を実践することが対処法として考えられます。そして,僕も実践中です٩( ᐛ )و

参考文献

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大志西川, 美希松永, & 嘉一郎古谷. (2013). 反すうが自動思考と抑うつに与える影響. 心理学研究, 84(5), 451–457.