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【強迫性障害】私は強迫性障害?病院受診した方が良い?

今回は検索キーワード「強迫性障害 病院」に設定してみました٩( ᐛ )و

未治療期間とは

精神医学の専門用語に未治療期間というものがあります。これは読んで字のごとく,精神症状があるにも関わらず,適切な治療を受けていない期間を指しており,未治療期間が長ければ長いほど,慢性化,重症化することが知られています。つまり,未治療期間を短くすることが,精神疾患改善のポイントになると考えられます。

強迫性障害における未治療期間

強迫性障害の有病率は1~2%(100人に1~2人)の稀な精神疾患ではないにも関わらず,強迫性障害の未治療期間は約7年と他の精神疾患と比較して長くなっていることが特徴的です。

未治療期間が長期化すると,脳構造が変化し,薬物療法の効果が減少してしまうという良くない結果を招いてしまう一方で,未治療期間の減少は,生活の質の早期改善に寄与し,より良い治療結果に繋がる可能性が示唆されています。

では,どうして強迫性障害における未治療期間は他の疾患に比べて長いのでしょうか?それは,「強迫症状が病気だと思わなかった」「強迫症状は自分で管理できると信じていた」という理由によるものが多いようです。

「強迫症状が病気だとは思わなかった」という点ですが,鍵の確認を以前よりも何度もするようになった,以前よりも手を何度も洗うようになった等の症状から始まり,最初は「自分は心配性だから…」と性格の問題として片づけているうちに,徐々に症状が悪化して,生活に支障がでてきてから受診に至るというパターンが多いように思います。

「強迫症状は自分で管理できると信じていた」という点ですが,一般的な発想で強迫症状に対処すると,たいていは悪化を招きます(家族に確認する,家族に作業を代行してもらう等)。一般的な発想とは逆の治療を行うことが,科学的な根拠のある強迫性障害の治療方法です。

強迫性障害の兆候を見逃さない

強迫性障害の兆候を見逃さないためのリストを暫定的に作成してみました。

☑以前よりも,確認,洗浄などの繰り返しの行動が増えてきて,その行動をしないと不安が収まらない。
☑繰り返しの行動のために日常生活に支障が出てきた。

疫学的なデータからリストを作成してみました。
☑繰り返しの行動は,19歳頃から始まっていた。
☑(男性)小学生の頃,繰り返しの行動があったり,まばたきや咳払いの回数が多いことを指摘されることがあった。

一般向けに簡単に書いてある強迫性障害の書籍と自分を比べてみることも強迫性障害の兆候を見逃さないためのポイントであると言えます。

図解 やさしくわかる強迫症 原井宏明

まとめ

強迫性障害は,他の精神疾患に比べ,未治療期間が長いという特徴がありました。病院受診はハードルが高い,最初は薬物療法以外の選択肢でできることをやってみたいという方は,お気軽にご相談くださいね。

参考文献

Hisato Matsunaga. (2013). Clinical features, treatments and outcome of obsessive-compulsive disorder (OCD) focusing on the assessment and characteristics of patients with treatment-refractory. CiNii Research. https://cir.nii.ac.jp/crid/1573669311220971008

Matsumoto, Y., Nakamae, T., Abe, Y., Watanabe, A., & Narumoto, J. (2020). Duration of untreated illness of patients with obsessive–compulsive disorder in Japan. Early Intervention in Psychiatry15(6), 1644-1649. https://doi.org/10.1111/eip.13105

日本精神神経学会 (Ed.). (2014). DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル.