こころの相談室UP - TOP
ご予約はこちら

HSPって何だろう?HSPの特徴と対処法

はじめに

この記事では,Highly Sensitive Personの略語であるHSPについて解説していきます。

HSPって何だろう?HSPの特徴とは?

HPSに関連のある概念である,感覚処理過敏(SPS)という概念は,アーロン博士によって1990年代に提唱されました。感覚処理過敏は,特に明るい光,大きな音,強いにおいなどの環境的なストレスにさらされた後に,通常よりも深く情報を処理し,神経が過敏になりやすくなる生まれつきの特性であると言われています。感覚処理過敏は,日本では Highly Sensitive Person Scale日本版 (HSPS-J19)を使用して測定することができます。この尺度は,易興奮性低感覚閾美的感受性の3因子で構成されており,19問の質問に対して,まったくあてはまらない~非常にあてはまるの7件法で回答するものです。項目はこのような質問で構成されています。
「短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?(易興奮性)」
「大きな音や雑然とした光景のような強い刺激がわずらわしいですか?(低感覚閾)」
「微細で繊細な香り・味・音・芸術作品などを好みますか?(美的感受性)」

HSPは精神疾患なの?

精神疾患の診断基準であるDSM5の中には,HSPという診断名はありません。つまり,上述した尺度で高得点が出たからといって,精神疾患であるとは言えないのです。精神疾患ではなく,個々人の特定として理解するとよいかも知れません。その一方で,HSP特性と似たような特徴を持つ精神疾患は神経発達症群に記載されている,自閉スペクトラム症(ASD)です。自閉スペクトラム症の特徴の一部は以下の通りです。

  • 社会的・感情的交流の欠陥
  • 非言語のコミュニケーションの欠陥
  • 変化を拒み,ルーティンに固執し,物事を儀式化する
  • 感覚刺激への反応の異常

上述したように,感覚刺激に関する診断項目がありますが,感覚刺激に関する項目に該当しただけでは,自閉スペクトラム症とは診断されません。精神科医は成育歴の聴取を行い,社会性や非言語コミュニケーションはどうだったかなど,様々な観点から情報を収集し,収集した情報に基づいて診断を行います。

受診したけど何も診断されなかった!でも周囲の音や周囲の人の振る舞いが気になる!

自閉スペクトラム症の診断なされた場合,易刺激性について薬物療法が行われる可能性があります。また,自身の特性を理解し,困りごとに対処するために,認知行動療法を勧められることがあるかも知れません。

僕の個人的な意見では,周囲の音や周囲の人の振る舞いが気になるというHSP特性に対する対処法は,自閉スペクトラム症に対する対処法をトレースすることが効果的であると考えています。つまり,主治医に相談し,薬物療法を検討する,認知行動療法を受けてみるというものです。

薬物療法は,ストレッサーに過剰反応する身体を落ち着ける効果があり,認知行動療法は,ストレッサーに過剰反応した思考,感情・身体感覚・行動をマネジメントする効果があります。認知行動療法の中でも,自閉スペクトラム症に特化したプロトコルである(Aware and Care for my Autistic Traits)に基づいて実施してみると良いかも知れません。

終わりに

HSPに関する様々な書籍が出版され,HSPという言葉の認知度は年々上がっているように感じています。しかし,自身の感覚処理過敏の程度はどのくらいなのか,また,感覚処理過敏で困っているが具体的にどうしたら良いのかという問いに答えている書籍は少ないように思いました。当相談室では, Highly Sensitive Person Scale日本版 (HSPS-J19)を準備しており,感覚処理過敏の程度を測定することができます。また,感覚処理過敏に関する困りごとを解決するサポートを行うため,認知行動療法を実施する準備をしております。お問い合わせはどうぞお気軽に!