この論文は、不安障害およびうつ病患者の精神療法の結果において、患者とセラピストの報告に存在する類似点と相違点を分析しています。研究では、94人の患者を対象に、治療前後で標準化された質問票と視覚アナログ尺度(VAS)を用いて、患者とセラピストの報告を比較しました。
説明: 信頼性と妥当性が確認された質問票。本研究で使用されたのは、Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS) と Acceptance and Action Questionnaire (AAQ)。
説明: 症状や感覚の程度を直線上の長さで表す尺度。本研究では不安、うつ、回避体験の評定に10cmの線分が用いられました。
説明: 日常生活に支障を来すほどの過剰な不安を特徴とする精神疾患。全般性不安障害、パニック障害、社会不安障害などが含まれます。
説明: 持続する興味や喜びの喪失、無気力、疲労感を特徴とする気分障害。2週間以上続く場合、うつ病と診断されることがあります。
説明: 苦痛を伴う出来事や体験から逃れようとする心理的な傾向。Acceptance and Commitment Therapy (ACT) では心理的柔軟性の低下に繋がるとされています。
説明: 自分の思考や感情に強く同一化し、それに囚われすぎる心理的なプロセス。ACTにおいては、これが心理的柔軟性を阻害する主因とされています。
説明: 意味のある活動への関与を促進することに焦点を当てた療法。行動活性化療法では、この要素が重視されます。
説明: 治療開始前と終了後の時期。本研究では、これらの時点での変化を質問票により評価しました。
論文
Fernández-Rodríguez, C., Loredo-Martínez, V., & Coto-Lesmes, R. (2023). Patients ́ and therapists ́ reports of psychotherapy outcomes: Similarities and differences. Psicothema, 35(4), 374-383. https://doi.org/10.7334/psicothema2022.416