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小中高校生の自殺について

はじめに

日本では、自殺率が非常に高い国として知られています。特に、小中高生の自殺率が非常に高いことが問題となっています。2021年の小中高生の自殺者数は512人で過去最悪と文部科学省が発表しました(参考)。40%が男子高校であることが統計的な特徴として示されています。この問題を解決するためには、背景や原因を知り、防止策を考えることが必要です。

自殺の背景と原因

小中高生の自殺の原因は多岐にわたりますが、その背景には、社会的圧力、家庭内の問題、学校でのストレス、いじめなどが挙げられます。社会的圧力とは、成績や進路、外見、ファッションなどに関するもので、これらに対しての圧力や期待によって、心身の不調をきたし、自殺に至ることがあります。家庭内の問題も、家族関係が悪化したり、虐待や暴力などがあると、若者たちは自殺を選ぶこともあります。学校でのストレスやいじめについては、学校の拘束時間や成績に対する圧力、友達関係の悩み、いじめなどが挙げられます。また、SNSやインターネットの普及により、ネットいじめが発見しにくいようになったことが推察されます。また、自殺者の多くは、うつ病や不安障害などの精神疾患を抱えていることが多いため、精神的な問題も大きな原因となっています。

小中高生のうつ病

小中高生の自殺の原因の一つとして、うつ病が挙げられます。うつ病は、気分が落ち込んだり、やる気が出なかったり、興味が持てなかったりする状態が続く病気です。

小中高生は、学校のストレスやいじめ、家庭内の問題など、様々なストレスを抱えていることがあり、うつ病にかかるリスクが高いとされています。特に、学校でのストレスは、成績に対する圧力や進路の不安、友達関係の悩みなどが原因となり、うつ病につながることがあります。また、家庭内の問題も、家族関係が悪化したり、虐待や暴力などがあると、若者たちはうつ病にかかりやすくなるとされています。

うつ病にかかっている場合には、適切な治療を受けることが必要です。しかし、小中高生は、うつ病にかかっていることに気づかなかったり(気分的な問題より身体的な問題を呈することが多いため)、周りが気づいても相談する勇気が出なかったりすることがあります。そのため、周りの人たちが、うつ病にかかっている可能性がある子どもたちを見つけ、適切な支援を提供することが大切です。

うつ病に対する治療方法としては、環境調整、薬物療法や心理療法が挙げられます。環境調整とは、ストレスの要因になっている事柄と距離を置いたり、負担を軽減したりすることです。薬物療法は、抗うつ薬などの薬を使って、うつ病の症状を軽減する方法です。心理療法は、認知行動療法や対人関係療法などがあり、うつ病の原因に合わせて、適切な治療を行うことができます。

小中高生のうつ病は、自殺に至るリスクを高める原因の一つです。そのため、周りの人たちが、うつ病にかかっている可能性がある子どもたちを見つけ、適切な支援を提供することが大切です。子どもたちが、健やかに成長し、明るい未来を築くためには、大人がうつ病についての理解を深め、適切な支援を提供することが求められています。

小中高生の自殺を防ぐために

小中高校生の自殺を減らすためには、大人たちが次のようなことができます。

  • 子どもたちの話を聴くこと
  • 子どもたちがストレスを感じたときには、適切なサポートを提供すること
  • 子どもたちが学校や家庭で安心して過ごせる環境を整えること
  • 子どもたちに、自分自身を大切にし、健康な生活習慣を身につけるように促すこと
  • うつ病や精神的な問題がある場合には、適切な専門家に相談すること

社会全体で、小中高生の自殺をなくすために取り組んでいくことが必要です。周りの人たちが、若者たちの気持ちに寄り添い、理解することが大切です。若者たちは、自己肯定感を持ち、心身ともに健康であることが大切です。私たちは、子どもたちが、明るい未来を築くことができるよう、支援していくことが必要です。

子どもの自殺と認知行動療法

認知行動療法(CBT)は、子供や若者の自殺念慮やうつ病の治療において効果的であることがいくつかの研究で示されています。ある研究では、CBTが子供の不安を軽減し、自殺念慮の慢性的かつ永続的なパターンを減少させることができることが発見されました(参考)。別の総説では、青年期のうつ病と自殺念慮の治療にはCBTを用いることが推奨されています(参考)。第3の研究では、児童・家族中心認知行動療法(CFF-CBT)が自殺リスクに関連する児童・家族要因に対処できることが示唆されています(参考)。思春期の自殺念慮を対象とした治療研究でも、CBTが自殺念慮と抑うつ気分の改善をもたらすことが示唆されています(参考)。最後に、思春期の自殺企図者とその家族のために、簡潔で標準化された認知行動療法プログラムが開発されています(参考)

まとめ

小中高生の自殺は深刻な問題であり、その原因は多岐にわたります。しかし、適切な対策を講じることで、自殺を防止することができます。学校や家庭での心のケアが大切であり、必要な場合は、適切な専門家に相談することも重要です。そして、社会全体で、小中高生の自殺をなくすために様々な課題に取り組んでいくことが必要だと考えられます。